PremiereでMAするときに押さえておきたいポイント

MA:Multi Audio/音調整作業 音声調整のことをMA(Multi Audio)と言います。 このMA作業、映像制作においてかなり重要なポストだと筆者は認識しています。 学生時代、音響の勉強をしていた筆者がポイントを絞って 明日から使えるMA講座〜!

聞かせたい音の音量をあげるのではなく、他を下げる

これがMAの基本です。 音声の調整は、足し算ではなく、引き算。 これを意識するだけでごちゃごちゃした音声たちがスッキリきれいにまとまります。 MA作業というのは、様々な音を一つの箱に納めるイメージと思ってください。 聞かせたい音の音量をあげると、箱からあふれてしまいます。 箱から溢れると、ミキサーのメーターにピーク(赤いランプ)がつきます。 これがつかないのが理想です。

音量でバランスをとるのではなく、音域でバランスをとる

音域のバランスについては詳しくは後述します。 音量の大小を調整すればある程度のバランスは取れます。 しかし、ナレーションを聞かせるためにBGMを下げたら、BGMがほとんど聞こえない なんてことになります。 だから、多くの場合は小さい音を基準に考えて足し算してしまうんですね。 ポイントは、聞かせたい音を中心に、他の音は音域をズラす、ということです。

項目別音声の調整

ナレーション(NA)について

ナレーションは「適正に聞こえる」ことに重点を置いて調整するのがポイントです。

余分な部分はカットする

言葉と言葉の間はノイズが目立ちやすくなるのでカットします。 その際、「ブレス(息継ぎ)」の部分は残しておく方が自然かもしれません。

ノイズリダクションする

まずはノイズリダクションします。 「ノイズリダクション」というエフェクトを使って、数値をいじりながらノイズを減らします。 ポイントは以下の通り
  • ホワイトノイズ(サーっというノイズ)を弱めることを意識
  • ノイズを完全に消そうとは思わない
  • 高音のみ

80Hz以下はイコライザーでカット

80Hz以下をカットする理由は以下の通り
  • 80Hz以下を人間は認知しにくい
  • モコモコした音域で、あまり心地よくない
  • BGMの音域と被りやすく、ピークがつきやすい

クリップごとに音量調整をして、全体の音量をあわせる

コンプレッサー(Dynamicsエフェクト)を使って一括で音量を合わせる方法もありますが、 音の潰れ方が不自然になって、気になる場合があります。 そういう時は、クリップごとに波形を見ながら、音量を調整します。 MA もちろん、何度もプレビューして音を聴き比べます。 ポイントは
  • 音量メーターで−6dbくらいになるように合わせる
  • 破裂音や摩擦音(ba・pa・saなど)は波形の飛び出たところ(母音)のみを下げる
  • 最終判断は自分の耳

BGMについて

BGMのつなぎ目は丁寧に

BGMを映像尺に合わせて編集した時に、つなぎ目が粗いとかなり気になります。

BGMの音の帯域をナレーションとズラす

編集していて、ナレーションが聞こえにくい時があると思います。 そういう時はナレーションの音量をあげるのではなく、音全体のバランスを整えてみましょう。 一般的に、声の周波数帯域は
  • 男声:120Hz〜200Hz
  • 女声:200Hz〜300Hz
と言われています。 これを考慮して、BGMにEQ(イコライザー)をかけます。 イコライザーをかける際も引き算を意識します。 つまり、男声ナレーションの場合は、BGMの120Hz〜300Hzを下げます。 女声ナレーションの場合は、BGMの200Hz〜300Hzを下げます。 もちろん、ナレーターによって声の周波数帯域は微妙に変わるので、実際は音を聞きながらまとめます。

効果音について

音選びとタイミングが重要

効果音に置いて重要なポイントは、音選びと発音タイミングです。 動きに合った音選び、またそれを鳴らすタイミングがピッタリかどうか、 そういった細かい部分まで気をつける必要があります。

音量は少し小さいと感じるくらいにする

効果音については付加情報でしかなく、それがなくても映像自体は成立します。 なので、そんなに激しく主張しなくていいのです。 ポイントは「少し小さいかな?」と感じるくらいの音量でまとめること。

終わり。

さあ、どうでしたでしょうか。 音声調整について、ここに書いたことだけが正解ではありません。 一つの参考になればいいと思います。]]>

【Adobeで映像を作る】004 大まかな手順 最後のPremiere編

【Adobeで映像を作る】001 大まかな手順 Prelude編」 「【Adobeで映像を作る】002 大まかな手順 Premiere編」 「【Adobeで映像を作る】003 大まかな手順 After Effects編」 に続く第4弾です。 一通りの編集を終えたあと、Premiereに戻して最終の仕上げをするって話です。

編集の大きな流れ(Pl→Pr→Ae)

adobeMovie_102_Pl→Pr→Ae 僕が映像の編集業務で使っているソフトは3つ。
  • Adobe Prelude(Pl)
  • Adobe Premiere(Pr)
  • Adobe After Effects(Ae)
 

そして、最後にPrに戻します

adobeMovie_107_Pl→Pr→Ae→Pr

(手順1)Prelude(プレリュード)で素材の整理

このPreludeというソフト、映像をやってる人でも使ったことがないことが多いです。 詳しくは後述しますが、使った方がいいです。 「【Adobeで映像を作る】001 大まかな手順 Prelude編

(手順2)Premiere(プレミア)で編集

素材のカラコレから、カット割り、BGMやSEなどの音付けまで行います。 「【Adobeで映像を作る】002 大まかな手順 Premiere編

(手順3)After Effects(アフターエフェクツ)で上モノ追加

特殊効果的なものや、アニメーション素材など追加を行います。 「【Adobeで映像を作る】003 大まかな手順 After Effects編

(おまけ)Premiereに戻して最終仕上げ ←これ

After Effectsで処理したモノを、もう一度Premiereに読み込んで、 音声の調整などを行います。 これが大きな流れです。 ではさっそく説明してきます。

音声や映像微調整はPremiere

adobeMovie_106_とは言ってもPr

まずは、書き出した動画ファイルを並べる

最終的に書き出したいフォーマットのシーケンスを作成し、そこにAfter Effectsの処理まで終わって書き出した動画ファイルを置きます。 この時、オーディオミキサーorTL上で音量を小さめにしておきましょう。 第3回に書き出した映像の音声は、その後の作業の指標とするだけで、 最終的にはミュートすることになります。

音を並べる

第2回の記事で「ざっくり音調整する」という話をしました。 ざっくり音調整した音声のTLをごっそり全てコピーして、 最終書き出し用のシーケンスに貼り付けます。 具体的には
  • ナレーション
  • 効果音
  • BGM
などを貼り付けることになります。

音声を調整する

ナレーション、効果音、BGMをそれぞれ聞こえやすいようにバランスを整えます。 それぞれの調整方法についてはまた別の記事で書くとして、ポイントだけまとめます。

ナレーションはNR、ローカット

  • ノイズリダクション(ホワイトノイズ除去)
  • ローカット(80Hz以下)
  • 無音の部分はカット

BGMはナレーションの音域を下げる

BGMとナレーションのバランスは音量ではなく音域で調整するのがポイントです。 音量で調整するとBGMが大きくなるか、ナレーションが小さくなるか、ピークがつくかのどれかになります。 要件は下記2点
  • ナレーションが聞き取りやすい
  • BGMが鳴っていることが分かる
なので、それを意識してまとめましょう。

効果音は少し小さめ

効果音は、気持ち小さめに鳴らします。 常に鳴っているBGMに比べ、何発で鳴る効果音はインパクトが強く耳につきます。 なので、音量バランス的にはそんなに大きくする必要はありません。

そのほか、納品に必要なフォーマットに合わせる

テレビ納品の場合はカラーバーやノンモン、クレジットなど、本編映像の前後に様々な情報を入れなければなりません。そういったことを行うのもこの段階です。

これで完成!

最終の書き出しフォーマットで書き出しましょう!

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